海郷風物記
木下杢太郎
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)蕭《しめや》か
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)其他|天草《あまくさ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「にんべん+方」、第3水準1−14−10]
〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)裏にかくれた 〔e'rotique〕 であつた
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
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夕暮れがた汽船が小さな港に着く。
點燈後程經た頃であるからして、船も人も周圍の自然も極めて蕭《しめや》かである。その間に通ふ靜かな物音を聞いてゐると、かの少年時の薄玻璃《うすはり》の如くあえかなる情操の再び歸り來るのではないかと疑ふ。
艀舟《はしけ》から本船に荷物を積み入るる人々の掛聲は殊に興が深い。
「やつとこ、さいやの、どつこいさあ。」
「やれこら、さよな――
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