には、瀕死の病者のものとは思われない雄渾《ゆうこん》な筆つきで、次のような和歌がしたためられていた。

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あが屍《かばね》野にな埋みそ黒潮の逆《さか》まく海の底になげうて

さかまたはををしきものか熊野浦寄りくるいさな討ちてしやまむ
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底本:「山月記・李陵他九篇」岩波文庫、岩波書店
   1994(平成6)年7月18日第1刷発行
   2003(平成15)年8月25日第16刷発行
底本の親本:「中島敦全集 第一巻」筑摩書房
   1976(昭和51)年3月15日
初出:「光と風と夢」筑摩書房
   1942(昭和17)年7月15日
※「読みにくい語、読み誤りやすい語には現代仮名づかいで振り仮名を付す。」との底本の編集方針にそい、旧仮名づかいの部分のルビの拗促音は小書きしました。
入力:川向直樹
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年1月5日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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