南島譚
鶏[#「鶏」は「奚+隹」、第3水準1−93−66]
中島敦
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)其《そ》の
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)古い|石の神像《クリツツム》だ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]《にわとり》
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南洋群島島民のための初等学校を公学校というが、或る島の公学校を参観した時のこと、丁度朝礼で新任の一教師の紹介が行われている所にぶつかった。其《そ》の新しい先生はまだ如何《いか》にも若々しく見えるのだが、既に公学校教育には永年の経験のある人だという。校長の紹介の辞についで其の先生が壇に上り、就任の挨拶をした。
「今日から先生がお前等と勉強することになった。先生はもう長いこと南洋で島民に教えとる。お前等のすることは何から何まで先生にはよう分っとる。先生の前でだけ大人しくして、先生のおらん所で怠けとっても、先生には直ぐ分るぞ。」
一句一句ハッキリと句切り、怒鳴るよ
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