山月記
中島敦
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)隴《ろう》西の
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)博學|才穎《さいえい》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「埓のつくり+虎」、第3水準1−91−48]《くわく》略
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)おめ/\と
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隴《ろう》西の李徴は博學|才穎《さいえい》、天寶の末年、若くして名を虎榜《こぼう》に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃む所頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかつた。いくばくもなく官を退いた後は、故山、※[#「埓のつくり+虎」、第3水準1−91−48]《くわく》略に歸臥し、人と交を絶つて、ひたすら詩作に耽つた。下吏となつて長く膝を俗惡な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺さうとしたのである。しかし、文名は容易に揚らず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に驅られて來た。この頃から其の容
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