ウと掴めばギヤアと鳴くらむ
大蛇
うね/\とくねりからめる錦蛇|一匹《ひとつ》にかあらむ二匹《ふたつ》にかあらむ
大青|蜥蜴《とかげ》
口あけば大青蜥蜴舌ほそく閃《せん》々として青※[#「火+稻のつくり」、第4水準2−79−88]《せいえん》奔《はし》る
再び 山椒魚について
山椒魚は山椒魚としかなしみをもてるが如しよくよく見れば
麒麟《(きりん)》の歌
黒と黄の縞のネクタイ鮮やけき洒落者《みやびをとこ》と見しは僻目《ひがめ》か
春の夜のシャンゼリゼェをマダム連れムッシュ・ヂラフがそゞろ歩むも
社交界の噂なるらむ麒麟氏が妻をかへりみ何かいふらしき
山高《ダービイ》も持たせまほしき男ぶり麒麟しづ/\と歩みたりけり
泥濘《ぬかるみ》を避《よ》けて道行く禮裝の紳士とやいはむ麒麟の歩み
隙もなき伊達男《ダンデイ》ぶりやワイシャツの汚れもさぞや気にかかりなむ
ハイエナ(鬣狗)
死にし子の死亡屆を書かせける代書屋に似たりハイエナの顏は
カンガルウ
力無きばつた[#「ばつた」に傍点]の如《ごと》も春の陽《ひ》に跳び跳びてをりカンガルー二つ
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