だいく》石工《せきこう》人夫《にんぷ》ら二十余名が手を空《むな》しくして徒食せるにもかかわらず、予約の賃金は払わざるべからず、しかもその風雨は何時《いつ》晴るべき見極《みきわ》めも付かず、あるいは日光のために、眩暈《めまい》と激烈なる頭痛とに悩まされて、石工らの倒るるあり、また程《ほど》なく落成せんと楽《たのし》める前日に、暴風雨の襲来に遇《あ》い、数十日の日子《にっし》と労力とを費して搬《はこ》び上《あ》げたる木材を噴火坑内に吹き飛ばされ、剰《あまつ》さえ人夫らの中《うち》に、寒気と風雨とに恐れ、ために物議を生じて、四面|朦朧《もうろう》咫尺《しせき》を弁《べん》ぜざるに乗じて、何時《いつ》の間《ま》にか下山せしものありたるため、翌日落成すべき建築もなお竣工《しゅんこう》を告《つ》ぐる能《あた》わざる等《とう》、故障続出して、心痛常に絶ゆることなかりし、かかる有様《ありさま》なれば残余の人夫に対しては、あるいは呵責《かせき》し、あるいは慰撫《いぶ》し、随《したがっ》て勢い賃金を増すにあらざれば、同盟罷工《どうめいひこう》を為《な》し兼《か》ねまじき有様《ありさま》に至りたるが如《ごと
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