《しんじ》など、打語《うちかた》りつつありしこと、僅かに二、三日にして又々大に憂うべきこと出《い》で来《きた》りたり、他にあらず予もまた浮腫に冒されたることこれなり。
予が漸次《ぜんじ》浮腫を来《きた》すや、均しく体温上昇し、十二月は実に病《やまい》の花盛りなりしが如し、然れども足を引摺《ひきず》りながらも、隔時の観測だけは欠くことなかりしが、予の浮腫も全く妻のと同質なりと推定したれば、已《すで》に幾分経験あるを以て、今回は敢て驚くことなかりしといえども、漸次病勢を増すに及びては、妻もまた予が彼れを看護せし時と、同様の心事を繰り返しつつありたるものの如し、折節図らずも山麓有志者の、寒中数回登山を企て、しかも一行数人の内、倔強《くっきょう》なるもの僅かに二人のみ万艱《ばんかん》を排して始めてその目的を達して来訪せられしに遇《あ》いしかば、予はその当時の病状を決して他に告ぐるなからんことを誓《ちか》いおきしに、何時《いつ》しかその筋の耳にまでも入る所となりしなり、けだし予の浮腫は登山前より、多少の疲労に乗じて妻のよりも幾分重かりしならん、来訪者の一行中には予が舎弟も加わりし由なれども、他
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