んだんと、強い光が神経に当るので、眼をつぶらなければならなかった。すると、暗くなってまごついたが、そのことを感じるか感じないうちに、今ならわかりきったことだが、光がまた射してきた。私は歩き、それからたしか下へ降りたが、やがて自分の感覚に大きな変化のあったのがわかった。以前には、触っても見ても感じのない、暗い、不透明なものが、わたしのまわりにあったわけだが、今度は打ち克つことも避けることもできないような障害がなくなって、自由に歩きまわれるのがわかったのだ。光はますます蒸し暑くなり、歩いているうちに暑さに参って、日蔭になっている所を探した。それにインゴルシュタット附近の森で、そこでわたしは、小川のほとりに横になって疲れを休めたが、そのうちにとうとう、腹がすき、喉が乾いて苦しくなった。すると、それが、冬眠に近い状態からわたしを呼びさましたので、木に下ったり地面に落ちたりしていた何かの木の実を見つけては食べた。喉の乾きは小川で満たし、それから横になって眠りこけた。
「眼がさめた時は暗くて、寒さもおぼえたので、いかにもひとりぼっちなのを感じて、いわば本能的に、かなりおびえた。あんたのアパートメン
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