づいてみろ! おまえの頭にこの腕で叩きつける猛烈な仕返しがこわくないのか。行っちまえ、虫けらめ! 来るなら来てみろ、踏みつぶしてやるから! そしたら、いいか、おまえのみじめな存在を滅して、おまえにあんな非道な殺し方をされた被害者に、仕返しがしてやれるぞ!」
「こんなことだろうと思っていたよ。」と怪物が言った、「人間はみな、不幸なものを憎んでいる。どんな生きものよりもみじめなわたしが、憎まれなくちゃいけないわけだ! それなのに、わたしをつくったおまえさんが、二人のうちでどちらかが死ななけれは解けない結び目で結びあわされているこのわたしを、嫌って、はねつけている。わたしを殺すつもりでいる。命というものをこんなふうにおもちゃにしてどうするんです? わたしに対する義務を果してくださいよ。そうしたらわたしも、あんたやそのほかの人間に義務をはたしてやりますよ。わたしの条件に同意するなら、そいつらをそのままにしておいてあげましょう。しかしだね、あんたが拒絶するなら、まだ残っているあんたの身うちの者の血に飽きるまで、死神の胃袋をいっぱいにしてやりますぜ。」
「憎らしい怪けものめ! きさまは鬼だ! 地獄
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