はいなかった。私は歯ぎしりをし、その歯をがちがちいわせながら、もっとも奥底の魂から出てくる呻き声を出した。ジュスチーヌはぎょっとした。それが私だったとわかると、私に近づいて言った、「御親切に私をお訪ねくださって、ありがとうございます。あなたは、私が有罪だとお考えになってはいらっしゃらないでしょうね。」
私は答えることができなかった。「そうよ、ジュスチーヌ、」とエリザベートが言った、「私以上にあなたの無罪を確信していらっしゃるのよ。あなたが自白したとお聞きになったときでさえ、それをほんとうになさらなかったのですもの。」
「ほんとにありがたいことですわ。この最後の瞬間に、私は、私のことを親切に考えてくださる方に心の底からのありがたさを感じます。私のようなみじめな者にとっては、他人の愛情がどんなに嬉しいでしょう! それだけでも、私の不幸の半分以上が無くなります。私の身の潔白をあなたがたに認めていただいた今では、安らかに死ねそうな気がしますわ。」
こうして、この、きのどくな受難者は、私たちと自分自身を慰めようとした。自分の願った諦めを、ほんとうに得たのであった。しかし、ほんとうの殺害者であ
前へ
次へ
全393ページ中140ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宍戸 儀一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング