しゃい。私が声明します、あなたの無罪を立証します。あなたの敵の石みたいな心を、私の涙と祈りで、溶かしてみせます。あなたを死なせはしません! ――私の遊び友だち、私の仲間、私の妹であるあなたが、絞首台の上で死ぬなんて! いいえ! いいえ! そんな恐ろしい不運を見て生きながらえるわけにいきません。」
ジュスチーヌは悲しげに首を振った。「私は死ぬのは怖れません。そういう苦痛は過ぎ去ってしまいました。神さまが私の弱さを強くし、最悪のことに堪える勇気を与えてくださいます。私は悲しいつらいこの世を去って行きます。あなたが私というものを記憶して、まちがって罪を宣告されたものとお考えくださるのでしたら、私は、自分を待っている運命に身を任せます。どうぞエリザベートさま、神さまの御意志にがまんづよく従うということでは、私を手本になさってくださいませ!」
こういう会話のあいだ私は監房の隅にひっこみ、そこで、私を捉えた怖ろしい苦悶をやっと隠した。絶望! 誰が思いきってそんなことを言うだろう? 明日は生死の間の恐ろしい境界を過ぎなければならないこのきのどくな犠牲者も、私の感じたような深い痛ましい苦悶を感じて
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