ーヌの身のあかりの立つような手段を、何か見つけてくださるわね。私たちの不しあわせが、私たちには二重につらいのよ。あの愛らしい坊やをなくしたばかりでなく、私の心から好きなあのきのどくな少女が、いっそう悪い運命の手でもぎとられてしまうのですもの。もし、あの人が罪を宣告されたら、私はもう喜びというものを知らなくなるでしょう。だけど、そんなことはないわ。そしたらあたしは、小さなウィリアムの悲しい死のあとですけど、また幸福になるでしょう。」
「無罪だよ、エリザベート、」と私は言った、「それは証明されるよ。何も心配しないで、無罪放免を確信して元気を出すことだね。」
「あなたはなんて親切で寛大な方でしょう! ほかの人はみな、有罪だと思いこんでいますのよ。そんなことがあるはずもないのを知っていますから、私、なさけないわ。みんながそういう致命的な態度で偏見を抱いているのを見ると、私は望みを失って絶望的になってしまいますの。」そう言ってエリザベートは泣いた。
「エリザベートや、」と父が口を出した、「涙をお拭き。おまえが信じているように無罪だとしたら、この国の法律の正しさと、露ほども不公平の影がないようにし
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