の死体にふたたび眼を投げたとき、僕の胸に怒りがまた燃えあがりました。「悪党め!」と僕は言いました。「おまえが、自分でこしらえた破滅状態を悲んで泣くためにここにやってきたのは、けっこうだ。おまえはたくさんの建てものに松明《たいまつ》を投げこんでおいて、その建てものが燃えてしまった時に、その焼け跡に坐って、それがなくなったと言って歎いているわけだ。腹黒い鬼め! おまえがいま弔っている人がまだ生きていたら、おまえの呪われた復讐の餌食になるにきまっている。おまえがいま感じているのは憫れみじゃない。おまえが歎いているのは、ただ、おまえの悪意の犠牲者がおまえの力のとどかぬ所へ行ってしまったからだよ。」
「おお、そんなことはない、――そんなことは。」と怪物はさえぎって、「ただ、それがおれのやったことの本音だと思われる点かあり、そのために、あんたに与える印象がそんなことになるのにちがいないが、おれは、自分の不幸に同情を求めているわけではないのだ。おれが同情を受けるようなことはないだろう。おれがはじめ同情を求めたとき、自分もあずかりたいと思ったのは、自分のありあまる美徳への愛と幸福や愛の感情だった。しかし、今では、それも影のようになってしまい、その幸福や愛情がつらい忌まわしい絶望に変ってしまったというのに、いったい何におれは同情を求めたらいいのかね? おれは、自分の悩みが続くうちは、ひとりで悩むことに満足しているのだ。死ぬ時に、憎悪や非難でおれの記憶が背負いきれないようになったって、おれは十分満足だよ。かつて、おれの空想は、美徳と名声と享楽の夢に和らいでいたものだ。かつておれは、おれの外形を承知して、おれの示せるすぐれた特質のゆえにおれを愛してくれる人に出会いたいという、まちがった望みをもっていた。おれは名誉や献身という高邁な理想を抱いたこともある。しかし今では、犯罪のために、もっとも蔑しい動物以下に堕落してしまった。どんな罪も、どんな害悪も、どんな不幸も、おれのばあいとは比べものにならない。おれの罪悪の恐ろしい目録にざっと目を通すと、その思想ががっては崇高な卓越した美の幻想と善の威厳にみちていたあの存在と同じものであるとは、自分でも信じられないのだ。しかし、それはまさにそのとおりなのだ。堕天使は悪意にみちた悪魔になる。けれど、この神と人間の敵は、その荒廃のなかにあってさえ友だちや仲
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