とだよ。君がその凶悪な復讐をここまで極端に進める前に、もし、良心の声に耳をかたむけて、悔恨の苛責を感じていたとすれば、フランケンシュタインはまだ生きていたはずだ。」
「笑わせないでほしいね。それじゃおれが苦悶も悔恨も感じなかったと思っているのかね。――この人は、」と、死体を指さしながら、「この人は、死んでいく時には、ちっとも苦しまなかった、――そうだ、計画の一つ一つが遅々としてはかどらない時のおれの苦しみの、万分の一ほども。おれは恐ろしい利己心に駆られていたが、そのあいだにもおれの胸は悔恨にむしばまれていたのだ。クレルヴァルの呻き声がおれの耳には音楽に聞えたとでも思うのかね。おれの心は、愛や同情に感じやすいようにつくられ、不幸のために悪徳と憎悪のほうへねじまげられた時には、激しい変化に堪えかねて、あんたなどの想像もつかぬほど苦しんだよ。
「クレルヴァルを殺してから、断腸の思いでおれはスイスへ戻った。フランケンシュタインをかわいそうに思い、その憫れみが嫌悪に変り、おれは自分がいやになった。しかし、おれの存在を造ると同時に、言いようのない苦痛まてつくりだしたこの人が、幸福になろうという望みをもったのだ。この人はおれの頭には苦難と絶望を積みあげておきながら、おれには永久に拒まれている恩恵から自分の感情や欲情の享楽を求めている、ということがわかったので、無力の嫉みと激しい怒りのために、おれは復讐に対する飽くことを知らぬ渇望でいっぱいになった。おれは自分の脅迫のことばを憶い出し、それを実行に移す決心をした。これが自分にとっては死ぬような苦しみになることは知っていたが、おれは、自分でもいやでたまらぬ、といって背くことのできぬ衝動の、主人ではなくて奴隷だった。けれど、あの女が死んだ時は――あの時は、おれは不幸ではなかった。おれは、感情をみな投げ棄て、苦悩を押えつけて、絶望のあまり暴れまわった。それ以来、悪がおれの善になったのだ。こうなると、おれは、自分の性質を自分から進んで選んだ要素に適応させほかはなかった。この悪魔的な計画を完成することが、抑えきれぬ熱情となったのだ。それがいま終って、最後の犠牲がここにいるというわけだ!」
 僕は、はじめのうちは、そいつが自分の不幸について語ったことに感動しましたが、フランケンシュタインが怪物の雄弁と説得の力のことを言っていたのを憶い出し、友人
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