った。それは、自分が歓びを享けるように造られていなかったことを、いっそう痛ましく感じさせるものだったのだ。
「しかし、わたしの旅も終りに近づき、それから二箇月後にはジュネーヴの郊外に着いた。
「着いたのは夕方だったが、まわりの野原に身を隠すところを見つけて、どうしたらあんたに会って頼めるかを思案した。わたしは疲労と空腹に参ってしまい、あまりにみじめだったので、夕方のそよそよした風や、雄大なジュラ山脈のむこうに沈む太陽の光景などは、楽しむどころの沙汰ではなかった。
「このとき、すこしばかりまどろんで、こういう苦しい考えからのがれたが、その眠りは一人のきれいな子がやってきたためにさえぎられた。その子はいかにも幼い者らしく喜々として戯れながら、わたしの隠れていた物陰に走り寄って来たが、それを見たとたんに、わたしは、こんな小さい者なら偏見をもつまい、生れてまだまもないのだから畸形をこわがりはすまい、という考えに捉えられた。そこで、この子をつかまえて、自分の仲間として教えこむことができたら、人の住むこの地上でこれほどさびしくはなくなるだろう。
「こういう衝動に襲われて、わたしは、通り過ぎるところをつかまえて、その子を自分のほうに引き寄せた。その子にわたしの姿を見るとすぐ、両手で眼を蔽って甲高い悲鳴をあげたので、その手をむりやり顔から離させて話しかけた、『坊や、なんだってそんなことをするの? 痛い目にあわせるつもりじゃないんだよ。わたしの話を開さなさい。』
「子どもは烈しく身をもがいた。『放してよ、怪物! 悪者! 僕を食べたいんだろう、ずたずたに引き裂きたいんだろう――きさまは人食い鬼だ――放せったら、放さないとお父さんに言いつけるよ。』
「『坊や、もう二度とおまえをお父さんに会わせないよ。わたしといっしよに来るんだ。』
「『怖ろしい怪物め! 放しなよ。僕のお父さんは長官だぞ――フランケンシュタインだぞ――おまえを罰するぞ。僕をつかまえておいたらたいへんだぞ。』
「『なに、フランケンシュタイン! さてはおまえは敵のかたわれだな――その敵におれは永遠の復讐を誓ったのだ。およえを最初の犠牲にしてやるぞ。』
「子どもはなおも身をもがいて、わたしの心に絶望的な形容のことばを浴せかけるので、黙らせようとして喉をつかむと、あっというまに死んで、わたしの足もとによこたわった。
「犠牲になった
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