の記事もまじっていた。あなたはむろん、その書きもののことをおぼえているはずです。これがそうですよ。わたしというものの呪われた起原に関わりのあることは、何もかもこのなかには書いてある。そういうことになった胸のわるくなるような事情の一部始終が詳しく示され、あなた自身を恐怖感で苦しめ、わたしの激しい嫌悪感を消しがたいものにしたことばで、わたしの忌まわしい醜悪な姿が微に入り細をうがって書いてあるのだ。読んでいてわたしは気もちがわるくなった。苦しくなってわたしは叫んだ、『おれが生を享けた憎むべき日よ! 呪われた創造者よ! おまえ[#「おまえ」に傍点]でさえ嫌って顔をそむけるような醜い怪物をどうしてつくったのだ? 神さまは哀れだとお思いになって人間を自分の姿にかたどって美しい魅力のあるものにお造りになったが、おれの姿ときたら、似ているのでかえってよけいに忌まわしい、おまえの姿のけがらわしい模型だ。サタンには敬服し激励する仲間や同類の悪魔どもがあるが、おれはひとりぼっちで厭がられている。』
「落胆しきった孤独な気もちでいる時にわたしが考えめぐらしたのは、こういうことだが、母家の人たちの美徳や愛すべく情深い気性を眺めると、わたしは、この人たちが、わたしがその美徳に感服していることを知るようになったら、わたしに同情してわたしの体のできそこないなどは見のがしてくれるだろう、と自分に言い聞かせた。いくら畸形だといって同情と友情を哀願する者を玄関払いすることがあるだろうか。わたしは、すくなくとも絶望せず、自分の運命を決するこの人たちとの会見に際して恥しい思いをしないように、どんな方法でも取ろうと決心した。わたしはこの企てをさらに幾月か延ばした。成功するかどうかが重大なことだったので、失敗したら一大事だぞと心配したからだ。そのうえ、わたしの理解力が毎日の経験ごとに向上しているので、もう数箇月ほど経って、わたしがもっと賢くなるまで、この企てに着手したくない、と考えたのだ。
「そのあいだに、家のなかにはいくつかの変化がおこった。サフィーの居ることが家じゅうを幸福にしたが、また、家のなかがずっと豊かにもなったことがわかった。フェリクスとアガータは、もっと長い時間を娯楽と会話に費し、仕事には召使をつかった。金持ちのようでもなかったが、満足して幸福にしていた。このとおり、みんなの感情が穏かでなごやかな
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