版において、第一版に認めなかったものを認めた。それは、利用の最終度が生産物の価格を決定する瞬間から、これがまた生産的用役の価格すなわち地代、賃銀、利子を決定するというにある。なぜなら自由競争の制度の下においては、生産物の販売価格は生産的用役から成る生産費に等しくなるからである。ジェヴォンスは、彼の著書の第二版の序文の終りのはなはだ興味深い十頁(Pp. XLIII−LVII)において、イギリス派の方式または少くともリカルド・ミル派の方式を全く変えて、生産的用役の価格により生産物の価格を決定する代りに、生産物の価格により生産的用役の価格を決定せねばならぬと明言している。この大きな発展の可能である指示はイギリスでは直ちに追随はされなかった。かえってジェヴォンスの思想に対する反動が起って、リカルドの生産費理論が有力となった。しかるに自ら限界利用の概念を把握したオーストリアの経済学もまた、この結果を論理的に生産理論のうちに押しつめて、生産物の価値と生産手段の価値との間に、私が生産物の価値と原料及び生産的用役の価値との間に導き入れた関係と全く同じ関係を導き入れたのである。
 けれども我々の一致は、
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