xを賞讃し、または共産主義を拒否したと想像すれば、道徳科学と応用科学との間に矛盾があることになる。この矛盾は可能であるか。この矛盾が現れたとしたら、いかになすべきであろうか。
 我々はこの問題に遭遇するのであるが、私はこの問題に、それがもつべき地位を与えたいと思う。これは特にプルードンとバスチアとの間に、一八四八年の頃、道徳と経済学の関係について行われた論争の問題であった。プルードンは「経済的矛盾」において、正義と利益との間に矛盾があると主張し、バスチアは「経済的調和」において反対の説を主張した。私は二人が共にその証明を完全に果したとは考えない。そして私はバスチアの説を採るが、しかしバスチアとは異る方法によってこれを弁じたいと思う。とにかく、問題が存在するとしたら、これを解決せねばならない。全く異る道徳科学である所有権の理論と、応用科学である産業の理論とを混同して、この問題を隠蔽《いんぺい》してはならない。
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  第二編 二商品間に行われる交換の理論
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    第五章 市場と競争とについて。二商品間に行われる交換の問題

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要目 四〇 社会的
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