ォるのである[#「またこれだけの条件が充されれば足るのである」に傍点]。これら二つの均等が存在しないとき[#「これら二つの均等が存在しないとき」に傍点]、第一の均等を実現するには[#「第一の均等を実現するには」に傍点]、有効需要が有効供給より大なる用役または生産物の価格を騰貴せしめねばならないし[#「有効需要が有効供給より大なる用役または生産物の価格を騰貴せしめねばならないし」に傍点]、また有効供給が有効需要より大なる用役または生産物の価格を下落せしめねばならない[#「また有効供給が有効需要より大なる用役または生産物の価格を下落せしめねばならない」に傍点]。そして第二の均等を実現するには[#「そして第二の均等を実現するには」に傍点]、販売価格が生産費より大なる生産物の量を増加せねばならぬし[#「販売価格が生産費より大なる生産物の量を増加せねばならぬし」に傍点]、生産費が販売価格より大なる生産物の量を減少せねばならぬ[#「生産費が販売価格より大なる生産物の量を減少せねばならぬ」に傍点]。
 以上が生産の均衡価格の成立の法則[#「生産の均衡価格の成立の法則」に傍点]である。この法則を、次に私が為そうとしているように、適当に一般化された均衡価格変動の法則[#「均衡価格変動の法則」に傍点]と結合すれば、二重の法則である需要供給及び生産費の法則[#「需要供給及び生産費の法則」は太字][#「需要供給及び生産費の法則[#「需要供給及び生産費の法則」は太字]」に傍点]の科学的方式が得られよう。
[#改ページ]

    第二十二章 自由競争の原理について。生産物の価格と用役の価格との変動の法則。用役の購買曲線及び販売曲線。生産物の価格曲線。

[#ここから8字下げ]
要目 二二一 生産の領域における自由競争の解析的定義。二二二 自由競争の純粋かつ単純な事実または概念は原理となる。二二三 「自由放任」の証明は与えられていない。認識されない例外、公共事業、自然的必然的独占、社会的富の分配。二二四、二二五、二二六 用役の交換価値と稀少性の比例性。二二七 生産物と用役の均衡価格の変動の法則。二二八、二二九 用役の購買曲線と販売曲線。二三〇 生産物の価格の曲線。
[#ここで字下げ終わり]

 二二一 第二十一章になした証明によって、生産の領域における自由競争こそ、第二十章の方程式の実際的解法であることが明らかになった。換言すれば一方、企業者が、利益があるとき生産を拡張し、損失を受けるときこれを縮少し得る自由と、他方、地主・労働者・資本家が用役をせり下げつつ売り、生産物をせり上げつつ購い得る自由、企業者が用役をせり上げつつ購い、生産物をせり下げつつ売り得る自由こそが、第二十章の方程式の実際的解法である。飜って、これらの方程式及びこれらの方程式がよって立つ所の条件を回想すれば、記憶に甦ってくるものは次の如くである。
 ――自由競争によって支配せられる市場における生産は[#「自由競争によって支配せられる市場における生産は」に傍点]、用役が[#「用役が」に傍点]、欲望の可能的最大満足を生ぜしめるに適当な性質と量との生産物に変形せられるために結合せられる操作である[#「欲望の可能的最大満足を生ぜしめるに適当な性質と量との生産物に変形せられるために結合せられる操作である」に傍点]。ただしこの結合は[#「ただしこの結合は」に傍点]、各生産物及び各用役が市場においてはそれぞれの需要と供給とを等しからしめる所の唯一の価格しかもたないという条件と[#「各生産物及び各用役が市場においてはそれぞれの需要と供給とを等しからしめる所の唯一の価格しかもたないという条件と」に傍点]、生産物の販売価格は用役から成る生産費に等しいという条件のうちに[#「生産物の販売価格は用役から成る生産費に等しいという条件のうちに」に傍点]、なされるものでなければならぬ[#「なされるものでなければならぬ」に傍点]。
 二二二 最後におそらく人々は、科学的に丹念に仕上げられた純粋経済学の重要さを知ろうと欲するであろう。私は、純粋科学の観点に立って、今まで自由競争を一つの事実として採らなければならなかったし、また採ってきたのである。否、これを一つの仮説としてさえ採ってきたのである。これを私共が現実に見るか否かは、さまで重要ではない。厳密にいえば、これを思想のうちに考え得るのみで足りる。私は、これらの与件の下で、自由競争の性質・原因・結果を研究した。今や、これらの結果を要約すれば、ある限界の中で利用の最大を生ぜしめることであることが明らかになった。これによってこの自由競争の事実は利益の原理または利益の準則となる。これを農・工・商業に細密に適用することが残されているだけである。かくて純粋経済学の結論によって、私
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