ソ値尺度財で表わした価格を」に傍点]、他の価値尺度財で表わした価格に変更するには[#「他の価値尺度財で表わした価格に変更するには」に傍点]、これらの二財中の前者によって表わした価格を[#「これらの二財中の前者によって表わした価格を」に傍点]、この元の尺度財で表わした新価値尺度財の単位の価格で除せばよい[#「この元の尺度財で表わした新価値尺度財の単位の価格で除せばよい」に傍点]。
 一四六 この体系において、(A)が銀であり、九〇%銀半デカグラム(五グラム)が銀の量の単位であり、(B)が小麦であってヘクトリットルがこの小麦の量の単位であるとする。市場において、一般的均衡状態の下に、小麦の一ヘクトリットルが一般に九〇%銀二四半デカグラム(一二〇グラム)と交換せられる事実は、方程式
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pb,a[#「b,a」は下付き小文字]=24
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によって表わされる。これは次のようにいい表わされ得る。――「銀で表わした小麦の価格は二四である。」――もし量の単位を明らかにすれば、――「小麦一ヘクトリットルの価格は九〇%銀の二四半デカグラムである。」――または、「小麦は一ヘクトリットルで九〇%銀の二四半デカグラムの価値がある。」といい得る。この表わし方と、私が一般的考察をなしたとき(第二九節)実際の慣習から借りた表わし方――「小麦は一ヘクトリットルで二四フランの価値がある。」――との間には、九〇%銀の半デカグラム[#「九〇%銀の半デカグラム」に傍点]という語をフラン[#「フラン」に傍点]という語で置き換えてあると無いとの差異がある。この差異は充分な注意を払って論究せられねばならぬ。
 フラン[#「フラン」に傍点]という語は、大多数の人々の考では、メートル[#「メートル」に傍点]、グラム[#「グラム」に傍点]、リットル[#「リットル」に傍点]という語と類似したものである。ところでメートル[#「メートル」に傍点]は二つの事柄を表わしている。まず第一は子午線のある分数の長さを表わし、第二に長さ[#「長さ」に傍点]の一定不変の単位を表わしている。同様にグラム[#「グラム」に傍点]という語もまた二つの事柄を表わしている。まず最大密度の蒸溜水のある量の重量を表わし、第二に重量[#「重量」に傍点]の一定不変の単位を表わす。リットル[#「リットル」に傍点]も容量[#「容量」に傍点]に関し、同様に二つの事柄を表わしている。通常の人々にはフラン[#「フラン」に傍点]もまたこれと同じように見えるのである。すなわちフランという語は、第一にある品位の銀のある量の価値を表わし、第二に価値の一定不変な単位を表わしているように見える。
 この考え方のうちには区別すべき二つの点が含まれている。(一)フラン[#「フラン」に傍点]という語は九〇%銀の半デカグラムの価格を示すこと、(二)単位として採られたこの価格は一定不変であること。この第二の点は重大な誤謬であって、いかなる経済学者もこの誤謬に陥ってはいない。経済学をいかにわずかにせよ研究した人は、メートル[#「メートル」に傍点]とフラン[#「フラン」に傍点]の間に本質的な差異があって、メートルは長さの一定不変な単位であり、フランは一定でも不変でもなく、人々により多少の意見の差こそあれ認められる事情により、時と処によって変化するものであることを、認める。だからこの点を論駁して、時を空費する必要もなかろう。
 だがこの第二の点を別としても、なお第一の点が残っている。すなわちメートルが子午線の四分の一の百万分の一の長さであるように、フランも九〇%銀の半デカグラムの価値であるという点が残っている。この見方をとっている経済学者は、フランは変化するメートルであるが、しかしとにかくメートルであるという。だがもしすべての長さが絶えず、物体の膨脹収縮により、変化運動をなしているとすれば、私共はこれらの長さをこの限界の内においてしか測定することが出来ないが、この限界内ではこれを測定し得る。ところがすべての価値は、既に知ったように、変化の運動を絶えず続けている。だから時と処とを問わず、価値を相互に比較することは出来ない。だが与えられた処と与えられた時においては、これらの価値を相互に比較し得ないのではない。私共はかかる条件の下において価値を計るのである。
 この体系において、(A)は銀であり、九〇%銀の半デカグラムは銀の量の単位であり、(B)は小麦であり、ヘクトリットルは小麦の量の単位であるから、次の方程式を立てることが出来ると、人々は信じている。
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va[#「a」は下付き小文字]=1 フラン
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そして市場において、小麦の一ヘクトリットルが一般に九〇%銀の二四半デカグラム
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