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[#式(fig45210_117.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
を置き換えることが出来る。これらの方程式は主要な経済問題の解決に全く決定的な役割を演ずる。
一三六 交換価値の性質はかくも複雑な事実であり、ことに多数の商品がある場合にそうであるが、交換価値の性格はここに初めて明らかになってきた。va[#「a」は下付き小文字], vb[#「b」は下付き小文字], vc[#「c」は下付き小文字], vd[#「d」は下付き小文字] ……はいかなるものであるかといえば、それ自身は、不定であり任意のものであるが、これらの項の比例は、均衡状態において、すべての交換者におけるすべての商品の稀少性の共通にして同一な比を示すものである。従って、これらの項の二つずつの比は、任意の交換者における稀少性の二つずつの比に等しく、数学的表現を与えることが出来る。だから交換価値は本質的に相対的な事実であり、その原因は、常にひとり絶対的事実である所の稀少性にある(一)[#「(一)」は行右小書き]。ところで、各交換者に対しては、いかなる場合にも、商品m個のm個の稀少性しかあり得ないと同じく、均衡状態にある市場には、いかなる場合にも、これらm個の商品の交換価値m個の不定項しかあり得ない。そしてこれらの項の二つずつ組合わされて、これら商品相互間の m(m−1) 個の価格が成立する。この事情があるにより、ある場合には、計算上に項の比を記す代りに、任意項それ自体を記すことが出来る。あるいは更に一歩を進めて、均衡状態においては、各商品は、市場における他の一切の商品との関係において[#「市場における他の一切の商品との関係において」に傍点]、ただ一つの交換価値しかもたない[#「ただ一つの交換価値しかもたない」に傍点]といいたい人もあろう。だがかかる表現は、価値を絶対的のものと考える見方に偏している。だから、ここに問題とせられた事実を表わすには、一般均衡の定理の中の用語(第一一一節)または交換の解析的定義の中の用語(第一三一節)を用いるに如《し》くはない。
一三七 利用と所有量とは常に価格の成立の第一原因であって、また条件でもある。
いま均衡が成立し、商品(A)で表わした商品(B)、(C)、(D)の価格は pb[#「b」は下付き小文字], pc[#「c」は下付き小文字], pd[#「d」は下付き小文字] ……であって、各交換者は(A)、(B)、(C)、(D)……等のそれぞれの量を所有、これらが各交換者に最大満足を与えると想像する。かつ利用の増減という表現を、常に欲望曲線の移動の意味にのみ用いることとする。この移動は、その結果として、交換後における充された最後の欲望の強度すなわち稀少性を増減する。これだけを前提として、(B)の利用増加すなわち(B)の欲望曲線の移動が生じ、その結果ある交換者に対する(B)の稀少性の増加が生じたとする。しからばこれらの人々にとってはもはや最大満足ではあり得ない。これらの人々は、価格 pb[#「b」は下付き小文字], pc[#「c」は下付き小文字], pd[#「d」は下付き小文字] ……で(B)を需要し、(A)、(C)、(D)……を供給するのが有利である。ところで、価格 pb[#「b」は下付き小文字], pc[#「c」は下付き小文字], pd[#「d」は下付き小文字] ……ですべての商品(A)、(B)、(C)、(D)……の需要と供給とが均等していたとすれば、今やこれらの価値では、(B)の需要はその供給を超え、(A)、(C)、(D)……の供給は需要を超える。そこで pb[#「b」は下付き小文字] は騰貴する。このときから、他の交換者にとっても、最大満足ではないであろう。そして、(A)で表わした(B)の価格が pb[#「b」は下付き小文字] より大であれば、これらの人々は(B)を供給し、(A)、(C)、(D)……を需要するのが有利である。すべての商品(A)、(B)、(C)、(D)……の需要と供給とが相等しくなるとき、均衡は成立する。だから、右に仮定した人々に対する(B)の利用の増大は、その結果として、(B)の価格を騰貴せしめる。それはまた、その結果として、(C)、(D)……の価格を変化せしめ得る。だがまず、もし(B)以外の商品が市場に多数存在し、従って(B)と交換せられるそれらの各々の量が極めて小であるとすると、(C)、(D)……等の価格の変化は、(B)の価格の変化より著しくない。かつ、(C)、(D)……の価格のこれらの変化が騰貴となって現われるかまたは下落となって現われるかは、何ものも示してくれない。否、騰貴または下落が起るであろうことさえも、何ものも示してくれない。このことは、補充的交換が行われて新しい均衡が成立したときの稀少性の
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