交換はこれらの価格において行われ、問題は解かれるであろう。だが一般に各商品の総需要と総供給とは相等しくなく、[#式(fig45210_102.png)入る]であり、従って[#式(fig45210_103.png)入る]であろう。かような場合には、人々は市場においていかに行動するか。需要が供給より大であれば、価値尺度財で表わしたこの商品の価格を騰貴せしめるであろうし、供給が需要より大であれば、価格を下落せしめるであろう。しからば理論的解法と市場の解法が同一であることを証明するにはいかなる証明を要するか。その答は簡単である。すなわち市場における価格の騰落が、需要と供給の均等方程式の体系を、摸索によって解く方法であることを証明すればよい。
一二六 ここで思い起さねばならぬのは、方程式
[#ここから4字下げ]
X'+Y'p'b[#「b」は下付き小文字]+Z'p'c[#「c」は下付き小文字]+W'p'd[#「d」は下付き小文字]+ …… =0
[#ここで字下げ終わり]
の存在である。ところで価格 p'b[#「b」は下付き小文字], p'c[#「c」は下付き小文字], p'd[#「d」は下付き小文字] ……に対応する正の x, y, z, w ……のそれぞれの合計を D'a[#「a」は下付き小文字], D'b[#「b」は下付き小文字], D'c[#「c」は下付き小文字], D'd[#「d」は下付き小文字] ……と呼び、負のそれぞれの合計の符号を変えたものを O'a[#「a」は下付き小文字], O'b[#「b」は下付き小文字], O'c[#「c」は下付き小文字], O'd[#「d」は下付き小文字] ……と呼べば、右の方程式は次の形とすることが出来る。
[#ここから4字下げ]
D'a[#「a」は下付き小文字]−O'a[#「a」は下付き小文字]+(D'b[#「b」は下付き小文字]−O'b[#「b」は下付き小文字])p'b[#「b」は下付き小文字]+(D'c[#「c」は下付き小文字]−O'c[#「c」は下付き小文字])p'c[#「c」は下付き小文字]+(D'd[#「d」は下付き小文字]−O'd[#「d」は下付き小文字])p'd[#「d」は下付き小文字]+ …… =0
[#ここで字下げ終わり]
そして p'b[#「b」は下付き小文字], p'c[#「c」は下付き小文字], p'd[#「d」は下付き小文字] ……は本質上正であるから、量 X'=D'a[#「a」は下付き小文字]−O'a[#「a」は下付き小文字], Y'=D'b[#「b」は下付き小文字]−O'b[#「b」は下付き小文字], Z'=D'c[#「c」は下付き小文字]−O'c[#「c」は下付き小文字], W'=D'd[#「d」は下付き小文字]−O'd[#「d」は下付き小文字] ……のあるものが正であれば、あるものは負であり、その逆も真である。換言すれば、価格が p'b[#「b」は下付き小文字], p'c[#「c」は下付き小文字], p'd[#「d」は下付き小文字] ……であるとき、ある商品の総需要が総供給より大であれば、他の商品の総供給は総需要より大であり、その逆もまた真である。
一二七 今、不等式
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_104.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
をとり、これを次の形とする。
[#ここから4字下げ]
[#式(fig45210_105.png)入る]
[#ここで字下げ終わり]
ここで函数 Δb[#「b」は下付き小文字] は正の y の合計すなわち Db[#「b」は下付き小文字] を表わし、函数 Ωb[#「b」は下付き小文字] は負の y の合計の符号を変えたものすなわち Ob[#「b」は下付き小文字] を表わすものとする。pc[#「c」は下付き小文字], pd[#「d」は下付き小文字] ……を捨象して、これらを一定とし、pb[#「b」は下付き小文字] のみを決定すべき価格であるとして、(B)の需要と供給とが相等しくなるには、pb[#「b」は下付き小文字] をゼロと無限大との間にいかに変化せしめることを要するかを求めてみよう。私共は函数 Fb[#「b」は下付き小文字] も、函数 Δb[#「b」は下付き小文字] も函数 Ωb[#「b」は下付き小文字] も知らない。しかし、これらの函数に関して、今の問題とする操作において、いかにして pb[#「b」は下付き小文字] が Fb[#「b」は下付き小文字] をしてゼロを通らしめ、または函数 Δb[#「b」は下付き小文字] と Ωb[#「b」は下付き小文字] とを等しからしめる値――もしありとすれば――をとるに至るかを示すに充分な指示を、私共は、既に研究した交換の事実の性質から引出すことが出来る。
一二八 まず函数 Δb[#「b」は下付き小文字]
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