チてしか、均衡価格は現われ得ない。
そこで、二商品相互の間の交換における有効需要供給の法則[#「有効需要供給の法則」に傍点](loi de l'offre et de la demande effectives)すなわち均衡価格成立の法則[#「均衡価格成立の法則」に傍点](〔loi d'e'stablissement d'e'quilibre〕)を、次のように表現することが出来る。――二商品が与えられ[#「二商品が与えられ」に傍点]、それらについて市場の均衡すなわちそれぞれ一方の商品で表わした他方の価格の静止状態があり得るためには[#「それらについて市場の均衡すなわちそれぞれ一方の商品で表わした他方の価格の静止状態があり得るためには」に傍点]、二商品の各々の有効需要がその有効供給に等しいことを必要とし[#「二商品の各々の有効需要がその有効供給に等しいことを必要とし」に傍点]、またこれだけの条件が充されるだけで充分である[#「またこれだけの条件が充されるだけで充分である」に傍点]。この均等が存在しないとすると[#「この均等が存在しないとすると」に傍点]、均衡価格に達するためには[#「均衡価格に達するためには」に傍点]、有効需要が有効供給より大なる商品の価格が高騰せねばならぬし[#「有効需要が有効供給より大なる商品の価格が高騰せねばならぬし」に傍点]、有効供給が有効需要より大なる商品が下落せねばならぬ[#「有効供給が有効需要より大なる商品が下落せねばならぬ」に傍点]。
この法則は、先に取引所の市場の研究のすぐ後で表明しようと試みたものであるが(第四二節)、しかしその厳密な証明が必要であった(第四八節)。
六一 我々は今や、市場における競争の機構がいかなるものであるかを、よく理解し了《お》えた。実際においても交換の問題は、価格の高騰及び下落によって解かれている。私がここに示したのは、この問題の数学的、純理論的解法である。私の目的が、実際の解き方に、私の解法を置き換えようとするにあるのではないのは、いうまでもない。実際の解き方は、理想通りに、迅速であり、正確である。例えば大市場では、仲買人やせり売人がなくても、その時々の均衡価格は数分の間に決定し、三四十分の間に巨額の商品が取引せられる。これに反し、理論的解法は、ほとんどすべての場合に、行われ難いものである。それ故に、交換の曲線を画《えが》きまたはその方程式を作ることは困難であるというのは、根拠のない批難を私共に加えようとする者である。ある商品の需要または供給曲線の全部または一部を作って、ある場合に利益が得られるか否か、これらの曲線をを作ることが可能であるか否か、それらはここに問おうとすることではない。今はただ交換の一般的問題を研究するのであって、我々にとっては、交換曲線の純粋な抽象的な概念が得られれば充分なのであり、同時にその把握が欠くべからざるものなのである。
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第七章 二商品相互の間に行われる交換の問題の解法の吟味
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要目 六二、六三 供給曲線が唯一の極大において連続である場合に論議を局限する。六四 供給曲線は需要曲線と交わらないこともあり得る。この場合価格は成立しない。六五 供給曲線は需要曲線と三点において交わることもあり得る。この場合三つの価格があり得る。六六、六七、六八 この内二つの均衡価格は安定であり、一つの均衡価格は不安定である。六九 二つの需要曲線の内一つが存在量の双曲線と一致する場合。七〇 二つ共一致する場合。
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六二 以上述べてきた所を要約すれば、二商品(A)、(B)が与えられ、その有効需要と価格との関係が、方程式
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Da[#「a」は下付き小文字]=Fa[#「a」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字]), Db[#「b」は下付き小文字]=Fb[#「b」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])
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によって表わされるとすると、均衡価格は方程式
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Da[#「a」は下付き小文字]va[#「a」は下付き小文字]=Db[#「b」は下付き小文字]vb[#「b」は下付き小文字]
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によって得られる。そして Da[#「a」は下付き小文字], Db[#「b」は下付き小文字] にその値を代入すれば、均衡価格は方程式
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Fa[#「a」は下付き小文字](pa[#「a」は下付き小文字])va[#「a」は下付き小文字]=Fb[#「b」は下付き小文字](pb[#「b」は下付き小文字])vb[#「b」は下付き小文字]
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によって得られる。だがしかし、pa[#「a」は下
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