換の数学的理論の原理」(〔Principes d'une the'orie mathe'matique de l'e'change〕)が公にせられ、一八七五年に「交換の方程式」(〔Equations de l'e'change〕)が、一八九六年に「生産の方程式」(Equations de la production)及び「資本化の方程式」(Equations de la capitalisation)が公にせられ、それらが綜合せられて「純粋経済学要論」(〔Ele'ments d'e'conomie politique pure〕)の第一版第一分冊が一八七四年に、第二分冊が一八七七年に出版せられ、第二版が一八八九年に、第三版が一八九六年に出版せられた。これら出版の事情と各版の相異とは原著第四版の序文に明らかにせられている。これらの相異のうち、貨幣の価値に関する第一版と第二版とのそれは、我々の注意に値するものであろう。マージェット(A. W. Marget)が指摘しているように、第一版に見られるフィッシャー流の貨幣数量説は、第二版においてケンブリッジ学派の数量説に変化しているのである(七)[#「(七)」は行右小書き]。
 ローザンヌ大学を退いて後も、ワルラスの学問的活動は停止していない。一八九六年には論文集「応用経済学研究」(〔Etudes d'e'conomie applique'e〕)を、一八九八年には論文集「社会経済学研究」(〔Etudes d'e'conomie sociale〕)を出版したほか、大小の論文を公にしている。
 翌年にはノーベル賞を目指して、著作を志している。一九〇七年の 〔Questions pratiques de le'gislation ouvrie`re et d'e'conomie politique〕 に公にされた論文「社会的正義と自由交換による平和[#「平和」は底本では「価格」、正誤表による訂正]」(〔La Paix par la justice sociale et le libre e'change〕)はその一端であるという。
 一九一〇年一月五日クララン(Clarens)に逝った。

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註一 〔L. Walras: Un initiateur en e'conomie politique: A. A. 
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