資本化の理論に関してはそれほど完全ではない。この問題についてメンガー氏は 〔Jahrbu:cher fu:r Nationalo:konomie und Statistik, tome XVII〕 中に彼の研究「資本理論について」(Zur Theorie des Kapitals)を公にし、またインスブルック(Innsbruck)の教授ベェーム=バウェルク氏はその著書「資本と利子」(Kapital und Kapitalzins)(一八八四年、一八八九年)を完成した。ベェーム=バウェルク氏はこの書物の中で、資本利子の事実を現在財の価値と将来財の価値との差から引き出した(九)[#「(九)」は行右小書き]。私は、ここではベェーム=バウェルク氏と意見を同じゅうしないことを言明せねばならぬし、かつ何故《なにゆえ》に私が氏の理論に賛成し得ないかを、簡単に説明せねばならぬ。だがこれは、この理論または少くともこの理論が含む所の利子率決定の理論を数学的に築き上げた上でなくては、なされ得ない(一〇)[#「(一〇)」は行右小書き]。
「n年の後にしか引渡されないでAなる価値をもつべき物を想像し、この物が今直ちに引渡されるとすると、利子の年率がiであるとき、それは現在
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[#式(fig45210_001.png)入る]
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だけの価値しかもたない。このことは商業算術書を開けば直ちに解る。しかしこの方式の上に利子率決定の経済理論を立てるには、まずいかにしてA’[#「A’」は縦中横]が決定するかを明らかにせねばならぬし、次に右に与えられた方程式に従ってiがAから導き出される所の市場を示さねばならぬ。私はこの市場を求めても、見出すことが出来ない。これ、私が(償却費と保険料とを捨象して)iを方程式
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[#式(fig45210_002.png)入る]
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から導き出すことを主張するゆえんである。ここで pk[#「k」は下付き小文字], pk'[#「k'」は下付き小文字], pk''[#「k''」は下付き小文字] は新資本(K)、(K')、(K'')の用役の価格であり、交換及び生産理論によって決定せられる。Dk[#「k」は下付き小文字], Dk'[#「k'」は下付き小文字], Dk''[#「k''」は下付き小文字] ……は製造
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