アのようにして多数の商品の間の交換の問題は解けたように見える。しかし実は半ばしか解けていない。上に限定した条件の下では、市場に二つずつの商品の価格のある均衡があるわけである。だがそれは不完全均衡に過ぎない。市場の完全均衡[#「市場の完全均衡」に傍点](〔e'quilibre parfait〕)または一般的均衡[#「または一般的均衡」に傍点](〔e'quilibre ge'ne'ral〕)は、任意の二つずつの商品の一方で表わした価格が[#「任意の二つずつの商品の一方で表わした価格が」に傍点]、任意の第三の商品で表わしたそれらそれぞれの商品の価格の比に等しくなければ[#「任意の第三の商品で表わしたそれらそれぞれの商品の価格の比に等しくなければ」に傍点]、実現し得ない[#「実現し得ない」に傍点]。これを証明せねばならないが、そのために例えば多くの商品の中の(A)、(B)、(C)の三つを採り、価格 pc,b[#「c,b」は下付き小文字] は、価格 pc,a[#「c,a」は下付き小文字] と pb,a[#「b,a」は下付き小文字] との比より大であるかまたはより小であると想像し、それからいかなる結果が生ずるかを見よう。
 推論の正確を期するため、すべての商品(A)、(B)、(C)、(D)……等の交換が行われる市場として役立つ場所が、二商品ずつ交換せられる部分的市場に分れると想像する。他の表現をもってすれば、市場が、交換せられる商品の名称及び上に記した方程式のシステムによって数学的に決定せられる価格を指示する標識をもって区別せられる[#式(fig45210_071.png)入る]個の特別の市場に分たれると、想像する。しからば“互に逆数の価格 pa,b[#「a,b」は下付き小文字], pb,a[#「b,a」は下付き小文字] で行われる(A)と(B)、(B)と(A)との交換”、“互に逆数の価格 pa,c[#「a,c」は下付き小文字], pc,a[#「c,a」は下付き小文字] で行われる(A)と(C)、(C)と(A)との交換”、“互に逆数の価格 pb,c[#「b,c」は下付き小文字], pc,b[#「c,b」は下付き小文字] で行われる(B)と(C)、(C)と(B)との交換”、があるわけである。これだけを前提とし、もし、(B)及び(C)を欲する(A)の各所有者が右の第一及び第二の特別市場
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