村の学校(実話)
アルフオンズ・ドーデー Alphonse Daudet
鈴木三重吉訳

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)牧場《まきば》へ

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ぱく/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 今からちようど六十年前に、フランスはドイツとの戦争にまけて、二十億円のばい償金を負はされ、アルザス・ローレイヌ州を奪はれました。その土地はこの前の世界戦争で、やつと又とりかへしました。このお話は、アルザス・ローレイヌがドイツ領になつて、村々の小学校も先生がみんなドイツ人にかはつてしまつたときのお話です。
[#ここで字下げ終わり]


    一

 私たちの小さな学校は、ハメル先生がどかれてから、がらりとかはつてしまひました。ハメル先生のときには、朝学校へつくと、授業までには、かならず五六分間ゆとりをおいてもらつたものです。みんなはその間、ストーヴのまはりに輪になつて、指をあたゝめ
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