、ポロポロ涙を流しました。
「なア、畜生でも……これは屹度《きつと》この小い熊の子の為《ため》に親同志が喧嘩《けんくわ》をして死んだのだらう……」と云つてゐる時、藪《やぶ》の蔭《かげ》からコソ/\と小い猪の子が出て来て、直《す》ぐ逃げてしまひました。
佐次兵衛は、此《こ》の三疋の獣の為めに叮嚀《ていねい》にお葬式をしてやりました。
それから京内は大変孝行な子供になつて、一生懸命にお父さんと一緒に働いて名高い炭焼になりました。今に木炭は紀州の名高い産物の一つであります。
底本:「日本児童文学大系 第一一巻」ほるぷ出版
1978(昭和53)年11月30日初刷発行
底本の親本:「赤い猫」金の星社
1923(大正12)年3月
初出:「金の船」キンノツク社
1919(大正8)年12月
※「不幸」と「不孝」の混在は、底本通りです。
入力:tatsuki
校正:田中敬三
2007年2月21日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボラン
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