くち》に投《とう》じてぼうぼうと燃《も》えあがる焔《ほのほ》に手《て》を翳《かざ》した。茶釜《ちやがま》がちう/\と少《すこ》し響《ひゞき》を立《た》てゝ鳴《な》り出《だ》した時《とき》卯平《うへい》は乾《ひから》びたやうに感《かん》じて居《ゐ》た喉《のど》を濕《うるほ》さうとして懶《だる》い臀《しり》を少《すこ》し起《おこ》して膳《ぜん》の上《うへ》の茶碗《ちやわん》へ手《て》を伸《のば》した。自由《じいう》を缺《か》いて居《ゐ》た手《て》が、爪先《つまさき》で持《も》つた茶碗《ちやわん》をころりと落《おと》させた。茶碗《ちやわん》の底《そこ》に冷《つめ》たく成《な》つて居《ゐ》た少《すこ》しの水《みづ》が土間《どま》へぽつちりと落《お》ちてはねた。飯粒《めしつぶ》が共《とも》に散《ち》らばつた。彼《かれ》は又《また》悠長《いうちやう》に茶碗《ちやわん》をとつて汚《よご》れた部分《ぶゞん》を手《て》でこすつて、更《さら》に茶釜《ちやがま》の熱湯《ねつたう》を注《そゝ》いで足《あし》もとの灰《はひ》へ傾《ま》けた。蓋《ふた》をとつたのでほう/\と威勢《ゐせい》よく立《た》つて居《ゐ》る
前へ
次へ
全956ページ中855ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング