ざんこく》に渡《わた》つて少《すこ》しでも餘裕《よゆう》を與《あた》へられないのである。それで彼等《かれら》の間《あひだ》には自然《しぜん》に只《たゞ》恐怖《きようふ》する性質《せいしつ》のみが助長《じよちやう》されたのであるかも知《し》れない。それだから既《すで》に薪《たきぎ》に伐《き》るべき時期《じき》を過《すご》して、大木《たいぼく》の相《さう》を具《そな》へて團栗《どんぐり》が其《そ》の淺《あさ》い皿《さら》に載《の》せられるやうに成《な》れば、枯葉《かれは》は潔《いさぎよ》く散《ち》り敷《し》いてからりと爽《さわや》かに樹相《じゆさう》を見《み》せるのである。丁度《ちやうど》それは子孫《しそん》の繁殖《はんしよく》と自己《じこ》の防禦《ばうぎよ》との必要《ひつえう》を全《まつた》く忘《わす》れさせられた梨《なし》の接木《つぎき》が、大《おほ》きな刺《とげ》を幹《みき》にも枝《えだ》にも持《も》たなく成《な》つたやうに、恐怖《おそれ》が彼等《かれら》を去《さ》つたのである。
 然《しか》しながら林《はやし》の櫟《くぬぎ》は幾《いく》ら遠《とほ》く根《ね》を伸《のば》して迅速《じ
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