つか》まぬものは難《むづ》かしくなつた目《め》を蹙《しが》めたり口《くち》をむぐ/\と動《うご》かしたりして自分《じぶん》は一|向《かう》それを知《し》らないのであつた。彼等《かれら》の各自《めい/\》が持《も》つて居《ゐ》る種々《いろ/\》な隱《かく》れた性情《せいじやう》が薄闇《うすぐら》い室《しつ》の内《うち》にこつそりと思《おも》ひ切《き》つて表現《へうげん》されて居《ゐ》た。女房《はようばう》の言辭《ことば》は悉皆《みんな》の顏《かほ》を唯《たゞ》驚愕《おどろき》の表情《へうじやう》を以《もつ》て掩《おほ》はしめた。一|度《ど》に女房《にようばう》を見《み》た彼等《かれら》には其《そ》の時《とき》まで私語《さゞめ》き合《あ》うた俤《おもかげ》がちつともなかつた。彼等《かれら》は慌《あわ》てゝ寶引絲《はうびきいと》も懷《ふところ》へ隱《かく》して知《し》らぬ容子《ようす》を粧《よそほ》うて圍爐裏《ゐろり》の側《そば》へ集《あつま》つた。
「こつちの方《はう》酷《ひど》く威勢《えせい》えゝから俺《お》らも仲間入《なかまいり》させてもらえてもんだ」寶引《はうびき》の婆《ばあ》さん等
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