》せた。
「そんだが俺《お》れ旦那《だんな》に云《や》あれてから、家族《うち》の奴等《やつら》ことも怒《おこ》んねえはあ、俺《お》れうめえ處《とこ》見《み》られつちやつたな、いや云《や》あれちや勿體《もつてえ》ながす、本當《ほんたう》に勿體《もつてえ》ねえだよ、お婆《ばあ》さん」爺《ぢい》さんは首《くび》を俛《たれ》て滅切《めつきり》靜《しづ》かになつていつた。さうして彼《かれ》は茶碗《ちやわん》の酒《さけ》をだら/\と零《こぼ》しながらに一口《ひとくち》に嚥《の》んだ。
 此《こ》の時《とき》外《そと》から女房《にようばう》が一人《ひとり》忙《せは》しく來《き》た。女房《にようばう》は佛壇《ぶつだん》の前《まへ》へ行《い》つて
「駐在所《ちうざいしよ》來《き》たよ」悉皆《みんな》の中《なか》へ首《くび》を突《つ》き入《い》れるやうにして竊《そつ》と語《かた》つた。悉皆《みんな》は頻《しき》りに輸※[#「羸」の「羊」に代えて「果」、354−14]《かちまけ》にのみ心《こゝろ》を奪《うば》はれて居《ゐ》た。彼等《かれら》の顏《かほ》はにこ/\としたり又《また》は暫《しばら》くどつぺを掴《
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