。卯平《うへい》は口《くち》を緘《つぐ》んで居《ゐ》る。
「汝《わ》りや、さうだこと云《い》ふんぢやねえ、先刻《さつき》あゝだに何《なにつ》か貰《もら》つて要《い》るもんか、まつと欲《ほ》しいなんちへば俺《お》れ腹《はら》掻裂《かつツ》えて小豆飯《あづきめし》掻出《かんだ》してやつから、汝《わ》りや口《くち》ばかし動《いご》かしてつから見《み》ろうそれ、鴉《からす》に灸《きう》据《す》ゑらツてら」と先刻《さつき》の首《くび》へ數珠《ずゝ》を卷《ま》いた爺《ぢい》さんががみ/\といつた。與吉《よきち》は羞《はにか》んだやうにして五|厘《りん》の銅貨《どうくわ》で脣《くちびる》をこすりながら立《た》つて居《ゐ》た。彼《かれ》の口《くち》の兩端《りやうはし》には鴉《からす》の灸《きう》といはれて居《ゐ》る瘡《かさ》が出來《でき》て泥《どろ》でもくつゝけたやうになつて居《ゐ》た。
「汝《わ》りや錢《ぜね》欲《ほ》しけりやおとつゝあに貰《もら》へ」爺《ぢい》さんは又《また》呶鳴《どな》つた。
「そんだつて駄目《だめ》だあ、おとつゝあ等《ら》呉《く》れやしめえし」與吉《よきち》は漸《やつ》といつた
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