聲《こゑ》が波《なみ》の如《ごと》く沈《しづ》んで復《ま》た起《おこ》つた。太鼓《たいこ》の撥《ばち》は強《つよ》く打《う》ち輕《かる》く打《う》ち、更《さら》に赤《あか》く塗《ぬ》つた胴《どう》をそつと打《う》つて、さうして又《また》だらり/\と強《つよ》く輕《かる》く打《う》つことを反覆《はんぷく》した。念佛《ねんぶつ》が畢《をは》るまでには段々《だん/\》と遠《とほ》い近《ちか》い木立《こだち》の輪郭《りんくわく》がくつきりとして青《あを》い蜜柑《みかん》の皮《かは》が日《ひ》に當《あた》つた部分《ぶぶん》から少《すこ》しづゝ彩《いろど》られて行《ゆ》くやうに東《ひがし》の空《そら》が薄《うす》く黄色《きいろ》に染《そま》つて段々《だん/\》にそれが濃《こ》く成《な》つて、さうして寒冷《ひやゝか》なうちにもほつかりと暖味《あたゝかみ》を持《も》つたやうに明《あか》るく成《な》つた。念佛《ねんぶつ》の濁《にご》つた聲《こゑ》も明《あか》るく響《ひゞ》いた。地上《ちじやう》を掩《おほ》うた霜《しも》が滅切《めつきり》と白《しろ》く見《み》えて寮《れう》の庭《には》に立《た》てられた天
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