《さは》つて立《た》つて居《ゐ》る身體《からだ》がぐらりと後《うしろ》へ倒《たふ》れ相《さう》に成《な》つた。勘次《かんじ》は船頭《せんどう》が態《わざ》と自分《じぶん》を突《つ》きのめしたものゝやうに感《かん》じて酷《ひど》く手頼《たより》ない心持《こゝろもち》がした。彼《かれ》は凝然《ぢつ》と屈《かゞ》んで船頭《せんどう》の操《あやつ》る儘《まゝ》に任《まか》せた。中央《ちうあう》の大《おほ》きな洲《す》から續《つゞ》く淺瀬《あさせ》に支《さゝ》へられて船《ふね》は例《いつも》の處《ところ》へは着《つ》けられなく成《な》つて居《ゐ》る。只《たゞ》一人《ひとり》の乘客《じようかく》である勘次《かんじ》は船頭《せんどう》の勝手《かつて》な處《ところ》へおろされたやうに思《おも》つた。河楊《かはやなぎ》が痩《や》せて、赤《あか》い實《み》を隱《かく》した枸杞《くこ》の枝《えだ》がぽつさりと垂《た》れて、大《おほ》きな蓼《たで》の葉《は》が黄色《きいろ》くなつて居《ゐ》る岸《きし》へ船《ふね》はがさりと舳《へさき》を突《つ》つ込《こ》んだのである。それでも其處《そこ》にはもう幾度《いくたび
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