\》さら/\と微《かす》かに響《ひゞき》を傳《つた》ひて船《ふね》の底《そこ》が支《さゝ》へられようとする。初秋《しよしう》の洪水《こうずゐ》以來《いらい》河《かは》の中央《ちうあう》には大《おほ》きな洲《す》が堆積《たいせき》されたので、船《ふね》は其《そ》の周圍《しうゐ》を偃《は》うて遠《とほ》く彎曲《わんきよく》を描《ゑが》かねば成《な》らぬ。勘次《かんじ》は目《め》を掩《おほ》はれたやうで心細《こゝろぼそ》い霧《きり》の中《なか》に、其※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《そんな》ことで著《いちじる》しく延長《えんちやう》された水路《すゐろ》を辿《たど》つて居《ゐ》ながら、悠然《ゆつくり》として鈍《にぶ》い棹《さを》の立《た》てやうをするのに心《こゝろ》を焦慮《あせ》らせて
「どうしたんべ、入《へえ》つちや越《こ》せめえか」船頭《せんどう》の方《はう》を向《む》いて彼《かれ》はいつた。
「ぶく/\やりたけりや入《へえ》つた方《はう》がえゝや」船頭《せんどう》はそつけなくいつて徐《おもむ》ろに棹《さを》を立《た》てる。船底《ふなぞこ》が觸
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