やう》にもたえした起《お》き轉《ころ》びがあるのよなあ、俺《お》ら方《はう》見《み》てえに洪水《みづ》で持《も》つてかれてばかし居《ゐ》つ處《とこ》も有《あ》んのに山林《やま》んなかで米《こめ》とれるなんて」
「さうよ、此處《こゝ》らは洪水《みづ》の心配《しんぺえ》はさうだにしねえでもえゝ處《とこ》だかんな」勘次《かんじ》は從來《これまで》其《そ》の間《あひだ》がどうであつたにしても偶然《ぐうぜん》逢《あ》つたおつたに對《たい》してだん/\噺《はな》して居《ゐ》るうちには同《おな》じ乳房《ちぶさ》に縋《すが》つた骨肉《こつにく》の關係《くわんけい》が彼《かれ》の淺猿《さも》しい心《こゝろ》の底《そこ》を披瀝《ひら》いてそれを陰蔽《いんぺい》するのには餘《あま》りに彼《かれ》を放心《うつかり》とさせたのであつた。
「おつう、彼《あ》の薤《らつきやう》でも出《だ》して見《み》せえ、土用前《どようめえ》に採《と》つて直《す》ぐ漬《つけ》たんだから、はあよかんべえ」
勘次《かんじ》は快《こゝろ》よくおつぎに命《めい》じた。おつぎは古《ふる》い醤油樽《しやうゆだる》から白漬《しろづけ》の薤《ら
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