ぢい》」といつて戸口《とぐち》に立《た》つやうに成《な》つた。遂《つひ》には彼《かれ》は
「爺《ぢい》くんねえか」と上《あが》り框《がまち》に胸《むね》を持《も》たせて、ばた/\と下駄《げた》で土間《どま》を叩《たゝ》きながら卯平《うへい》に錢《ぜに》を請《こ》ふやうに成《な》つた。それでも彼《かれ》は錢《ぜに》とは明白地《あからさま》にはいはない。
「汝《わ》りや、何《なに》くろつちんでえ」むつゝりした卯平《うへい》が態《わざ》とかう聞《き》くと
「呉《く》んねえか、買《か》あんだから」與吉《よきち》は又《また》ぼんやりと然《しか》も熱心《ねつしん》に要求《えうきう》する。其《その》態度《たいど》を卯平《うへい》は只《たゞ》快《こゝろ》よく思《おも》ふのであつた。
與吉《よきち》が懷《なづ》くまでには日數《ひかず》が經《た》つた。卯平《うへい》は勘次《かんじ》との間《あひだ》は豫期《よき》して居《ゐ》た如《ごと》く冷《ひやゝ》がではあつたが、丁度《ちやうど》落付《おちつ》かない藁屑《わらくづ》を足《あし》で掻《か》つ拂《ぱ》いては鷄《にはとり》が到頭《たうとう》其《そ》の巣《す》を
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