を繼續《けいぞく》して針仕事《はりしごと》を勵《はげ》む餘裕《よゆう》がなく漸《やうや》く手《て》についたかと思《おも》ふと途中《とちう》を切《き》つたり止《や》めたりするので思《おも》ふ樣《やう》な上達《じやうたつ》はなかつた。おつぎは暇《ひま》を偸《ぬす》んでは一|生懸命《しやうけんめい》で針《はり》を執《と》つた。卯平《うへい》がのつそりとして箸《はし》を持《も》つのは毎朝《まいあさ》こせ/\と忙《いそが》しい勘次《かんじ》が草鞋《わらぢ》を穿《はい》て出《で》ようとする時《とき》である。おつぎは卯平《うへい》の爲《ため》に火鉢《ひばち》へ※[#「火+畏」、第3水準1−87−57]《おき》を活《い》けてやつたり、お鉢《はち》を側《そば》へ供《そな》へたりするので幾《いく》らか時間《じかん》が後《おく》れる。さうすると勘次《かんじ》は擔《かつ》いだ唐鍬《たうぐは》をどさりと置《お》いたり、閾《しきゐ》を出《で》たり這入《はひ》つたり、唯《たゞ》忸怩《もぢ/\》として居《ゐ》ては、口《くち》に出《だ》せない或《ある》物《もの》を包《つゝ》むやうな恐《おそ》ろしい權幕《けんまく》でおつ
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