こそつぱい儘《まゝ》に嚥《の》み下《くだ》した。おつぎが膳《ぜん》を引《ひ》かうとすると
「其《そ》の醤油《しやうゆ》は打棄《うつちや》らねえで大事《でえじ》にして置《お》け」勘次《かんじ》は小皿《こざら》の數滴《すうてき》を惜《をし》んだ。
「其※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《そんな》こと云《ゆ》はねえつたつて打棄《うつちや》るもなあんめえな」おつぎは干渉《かんせふ》に過《す》ぎた勘次《かんじ》の注意《ちうい》が厭《いや》だと思《おも》ふよりも、偶《たま/\》逢《あ》つた卯平《うへい》の側《そば》でいはれるのが極《きま》りが惡《わる》いので喉《のど》の底《そこ》で呟《つぶや》いた。
「※[#「姉」の正字、「女+※[#第3水準1−85−57]のつくり」、246−11]《ねえ》今《いま》一|枚《めえ》くんねえか」與吉《よきち》は流《なが》し元《もと》に手《て》を動《うご》かして居《ゐ》るおつぎへ極《きは》めて小《ちひ》さな聲《こゑ》で請求《せいきう》した。
「汝《わ》りや、そつから佳味《うま》かねえなんていふもんぢやねえ、直《す》ぐ欲《ほ》
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