》つた。おつぎは戸《と》の隙間《すきま》から覗《のぞ》いて
「爺《ぢい》見《み》てえだな、おとつゝあ」と小聲《こごゑ》で告《つ》げた。それから勘次《かんじ》も覗《のぞ》いて、鍵《かぎ》を外《はづ》して這入《はひ》つた。與吉《よきち》は見識《みし》らぬ爺《ぢい》さんが居《ゐ》るので羞《はに》かんでおつぎの後《うしろ》へ隱《かく》れた。
「爺《ぢい》だ」とおつぎは叫《さけ》んで卯平《うへい》の側《そば》へ寄《よ》つた。
「爺《ぢい》は今日《けふ》來《き》たのか」おつぎの挨拶《あいさつ》に續《つゞ》いて
「おとつゝあ遲《おそ》かつたな」勘次《かんじ》もいつた。
「出《で》だすのもそんなに早《はや》かなかつたつけが、暫《しばら》く歩《ある》きつけねえ所爲《せゐ》かなんぼにも足《あし》が出《で》ねえで、かういに遲《おそ》くなる積《つもり》もなかつたつけが」卯平《うへい》は重《おも》い口《くち》でいつた。
「餘《よ》つ程《ぽど》待《ま》つてゝか爺《ぢい》は」おつぎは麁朶《そだ》を折《を》り足《た》しながらいつた。
「火《ひい》吹《ふ》つたけたばかりよ」卯平《うへい》は其《そ》の窪《くぼ》んだ茶色《
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