しんくわん》の白《しろ》い指貫《さしぬき》の袴《はかま》には泥《どろ》の跳《は》ねた趾《あと》も見《み》えて隨分《ずゐぶん》汚《よご》れて居《ゐ》た。神官《しんくわん》は埃《ほこり》だらけな板《いた》の間《ま》へ漸《やうや》く蓙《ござ》を敷《し》いた狹《せま》い拜殿《はいでん》へ坐《すわ》つて榊《さかき》の小《ちひ》さな枝《えだ》をいぢつて、それから卓《しよく》の供物《くもつ》を恰好《かつかう》よくして居《ゐ》る間《ま》に總代等《そうだいら》は箕《み》へ入《い》れて行《い》つた注連繩《しめなは》を樅《もみ》の木《き》から樅《もみ》の木《き》へ引《ひ》つ張《ぱ》つて末社《まつしや》の飾《かざり》をした。
 村落《むら》の者《もの》は段々《だん/\》に器量《きりやう》相當《さうたう》な晴衣《はれぎ》を着《き》て神社《じんじや》の前《まへ》に聚《あつま》つた。目《め》に立《た》つのは猶且《やつぱり》女《をんな》の子《こ》で、疎末《そまつ》な手織木綿《ておりもめん》であつてもメリンスの帶《おび》と前垂《まへだれ》とが彼等《かれら》を十|分《ぶん》に粧《よそほ》うて居《ゐ》る。十位《とをぐらゐ》
前へ 次へ
全956ページ中482ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング