つう」と劇《はげ》しく喚《よ》ぶ勘次《かんじ》の聲《こゑ》が裏《うら》の垣根《かきね》の外《そと》から聞《きこ》えた。さうすると又《また》
「何《なに》してけつかんだ」と勘次《かんじ》は裏戸口《うらとぐち》から一|同《どう》を驚《おどろ》かして呶鳴《どな》つた。
「勘次《かんじ》さん與吉《よきち》こと起《おこ》してた處《とこ》なんだよ」内《うち》の女房《にようばう》は分疏《いひわけ》してやつた。
「汝《わ》りや何時《いつ》でもさうだ、ぐづ/\してやがつて」勘次《かんじ》は猶《なほ》も憤《いきどほ》つていつた。
「待《ま》つてれば善《え》えんだなおとつゝあ、洗《あら》ひまでも仕《し》ねえのにどうしたもんだ」酒席《しゆせき》の趾《あと》を見《み》ておつぎは呟《つぶや》いた。
「管《かま》あねえで歸《けえ》れよ、おとつゝあ酩酊《よつぱら》つてんだから」女房《にようばう》はおつぎの意《い》を汲《く》んでやつた。後《あと》では亂雜《らんざつ》に散《ち》らかした道具《だうぐ》の始末《しまつ》をしながら女房等《にようばうら》はいつた。
「勘次《かんじ》さんが心持《こゝろもち》も分《わか》んねえな」
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