しらのげ》とも云《い》ふのであつたが勘次《かんじ》は
「此《これ》は白坊主《しろばうず》」とそつけなくいつた。彼《かれ》は鍋《なべ》といふのが厭《いや》でさういつたのである。兼《かね》博勞《ばくらう》はうまく或《ある》物《もの》を攫《とら》へた樣《やう》に得意《とくい》に成《な》つて村落中《むらぢゆう》へ響《ひゞ》かせた。口《くち》の惡《わる》い百姓等《ひやくしやうら》は勘次《かんじ》がおつぎを連《つ》れて田《た》へ出《で》て居《ゐ》るのを見《み》て
「白坊主等《しろばうずら》夫婦《ふうふ》して耕《うな》つてら」抔《など》と放言《はうげん》することすらあるのであつた。
 茶碗《ちやわん》には一|杯《ぱい》づつ酒《さけ》が注《つ》がれた。一|同《どう》はしをらしく茶碗《ちやわん》を口《くち》に當《あ》てた。
「恁《こ》んな物《もの》でよけりや、夥多《みつしら》やつておくんなせえ、まあだ後《あと》にも有《あ》りやんすから」内《うち》の女房《にようばう》は鹽《しほ》で煮《に》たかと思《おも》ふ樣《やう》な白《しろ》つぽい馬鈴薯《じやがたらいも》の大《おほ》きな皿《さら》を膳《ぜん》へ乘《の》
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