それから俺《お》れ役場《やくば》で役人《やくにん》が講釋《かうしやく》すつから深《ふか》ん坊《ばう》ぢや斯《か》うだつち噺《はなし》したら、はつきり惡《わ》りいたあ云《ゆ》はねえんだから、夫《それ》から俺《お》れ糞《くそ》攫《つか》んで見《み》ねえ奴《やつ》ぢや駄目《だめ》だつちんだ」彼《かれ》は笑《わら》ひながら獨《ひと》り饒舌《しやべ》つた。
「根性《こんじやう》捩《ねぢ》れてつからだあ、晩稻《おくいね》は作《つく》んなつちのに」女房《にようばう》の一人《ひとり》が又《また》いつた。
「俺《お》れか、いやどうも捩《ねぢ》れてんにもなんにも」兼《かね》博勞《ばくらう》はいつて
「そうれ見《み》ろえ、稻《いね》へ白《しれ》え花《はな》が咲《さ》えたぞ、白坊主《しろばうず》の花《はな》だこりや」彼《かれ》は手《て》に附《つ》いた粉《こ》を能《よ》く叩《たゝ》いた。
「厭《や》だよ、白坊主《しろばうず》ツち稻《いね》はあんめえな」女房《にようばう》が又《また》いつた。
「そんでも俺《お》ら勘次《かんじ》さんに聞《き》いたぞ」彼《かれ》は少《すこ》し首《くび》をすくめながら聲《こゑ》を低《ひ
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