してそれからおつぎの後姿《うしろすがた》を目《め》にしたので怪訝《けげん》な容子《ようす》をして庭《には》にはひつて來《き》た。一|同《どう》は打合《うちあは》せた樣《やう》に默《もく》して畢《しま》つた。
落《お》ち掛《か》けた日《ひ》が少時《しばし》竹藪《たけやぶ》を透《とほ》して濕《しめ》つた土《つち》に射《さ》し掛《か》けて、それから井戸《ゐど》を圍《かこ》んだ井桁《ゐげた》に※[#「くさかんむり/(さんずい+位)」、第3水準1−91−13]《のぞ》んで陰氣《いんき》に茂《しげ》つた山梔子《くちなし》の花《はな》を際立《はきだ》つて白《しろ》くした。暫《しばら》くして青《あを》い煙《けむり》の滿《み》ちた家《いへ》の内《うち》には心《しん》も切《き》らぬランプが釣《つ》るされて、板《いた》の間《ま》には一|同《どう》ぞろつと胡坐《あぐら》を掻《か》いて丸《まる》い坐《ざ》が形《かたち》づくられた。
此《これ》も傭《やと》はれて來《き》た若《わか》い女房等《にようばうら》は竈《かまど》の前《まへ》に立《た》つて内《うち》の女房《にようばう》とおつぎとに手《て》を藉《か》して居
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