急《いそ》いで遠《とほ》くへ響《ひゞ》き去《さ》るのを周圍《しうゐ》から遮《さへぎ》り止《と》めようとして錯雜《さくざつ》して茂《しげ》つて居《ゐ》る幹《みき》や小枝《こえだ》に打當《ぶツつか》つて紛糾《こぐらか》つて居《ゐ》るやうに、森《もり》一杯《いつぱい》に鳴《な》り響《ひゞ》いて上《うへ》へ/\と恐《おそ》ろしく人々《ひと/″\》の心《こゝろ》を誘導《そゝ》つた。男女《なんによ》が入《い》り交《まじ》つて太鼓《たいこ》を中央《ちうあう》に輪《わ》を描《ゑが》いて居《ゐ》る。それが一|定《てい》の間隔《かんかく》を措《お》いては一|同《どう》が袋《ふくろ》の口《くち》の紐《ひも》を引《ひ》いた樣《やう》に輪《わ》が蹙《しぼ》まつて、ぱらり/\と手拍子《てびやうし》をとつて、復《また》以前《いぜん》のやうに擴《ひろ》がる。さうしては其《そ》の踊《をどり》の手《て》を反覆《はんぷく》しつゝ徐《おもむ》ろに太鼓《たいこ》の周圍《しうゐ》を廻《めぐ》る。女《をんな》は袖《そで》を長《なが》く見《み》せる爲《ため》に手拭《てぬぐひ》を折《を》つて兩方《りやうはう》の袂《たもと》の先《さき》
前へ 次へ
全956ページ中413ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング