灯《ちやうちん》持《もつ》て田甫《たんぼ》の道《みち》を老人《としより》と子供《こども》とがぞろ/″\通《とほ》つた。勘次《かんじ》は提灯《ちやうちん》の火《ひ》を佛壇《ぶつだん》の燈明皿《とうみやうざら》へ移《うつ》した。煤《すゝ》け切《き》つた佛壇《ぶつだん》の菜種油《なたねあぶら》の明《あか》りは遠《とほ》い國《くに》からでも光《ひか》つて來《く》るやうにぽつちりと微《かす》かに見《み》えた。お袋《ふくろ》のよりも先《ま》づ白木《しらき》の儘《まゝ》のお品《しな》の位牌《ゐはい》に心《こゝろ》からの線香《せんかう》の煙《けぶり》が靡《なび》いた。勘次《かんじ》もおつぎもみそ萩《はぎ》の小《ちひ》さな花束《はなたば》の先《さき》を茶碗《ちやわん》の水《みづ》に浸《ひた》して其《そ》の水《みづ》をはらりと芋《いも》の葉《は》へ盛《も》つた茄子《なす》へ振《ふ》り掛《かけ》けた。勘次《かんじ》は雨戸《あまど》を一|杯《ぱい》に開《あ》けた。おつぎは浴衣《ゆかた》をとつて襦袢《じゆばん》一《ひと》つに成《な》つて、笊《ざる》に水《みづ》を切《き》つて置《お》いた糯米《もちごめ》を竈《かま
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