を聞《き》いて居《ゐ》たのである。
一三
初秋《しよしう》の風《かぜ》が吊放《つりはな》しの蚊帳《かや》の裾《すそ》をさら/\と吹《ふ》いて、疾《とう》から玉蜀黍《たうもろこし》が竈《かまど》の灰《はひ》の中《なか》でぱり/\と威勢《ゐせい》よく燃《も》える麥藁《むぎわら》の火《ひ》に燒《や》かれて、其《そ》の殼《から》がそつちにもこつちにも捨《す》てられる。畑《はたけ》の仕事《しごと》が暫時《ざんじ》極《きま》りがついて百姓《ひやくしやう》の家《いへ》には盆《ぼん》が來《き》た。其《そ》の日《ひ》も晝過迄《ひるすぎまで》仕事《しごと》をして居《ゐ》た勘次《かんじ》はそれでも慌《あわたゞ》しく庭《には》へ箒《はうき》を入《い》れて目《め》に立《た》つ草《くさ》は鎌《かま》の刄先《はさき》で掻《か》つ切《き》つた。戸《と》も障子《しやうじ》もない煤《すゝ》け切《き》つた佛壇《ぶつだん》はおつぎを使《つか》つて佛器《ぶつき》や其《その》他《た》の掃除《さうぢ》をして、賽《さい》の目《め》に刻《きざ》んだ茄子《なす》を盛《も》つた芋《いも》の葉《は》と、寂《さび》しい
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