「俺《お》らお給仕《きふじ》に出《で》なくつちや成《な》んねえか知《し》んねえが、耻《はづ》かしくつて厭《や》だな」
「嫁樣《よめさま》まつと耻《はづ》かしかつぺな」
「そんだが俺《お》ら嫁樣《よめさま》の衣物《きもの》どういんだか見《み》てえもんだな」半分《はんぶん》は望《のぞ》むやうな半分《はんぶん》は氣遺《きづか》ふやうな互《たがひ》の心《こゝろ》を語《かた》るのであつた。
 夜《よ》に成《な》つて板《いた》の間《ま》の娘等《むすめら》が座敷《ざしき》の方《はう》へ引《ひ》かれた頃《ころ》勝手口《かつてぐち》に村落《むら》の若者《わかもの》が五六|人《にん》立《た》つた。彼等《かれら》は婚姻《こんいん》の夜《よ》には屹度《きつと》極《きま》つた例《ためし》の饂飩《うどん》を貰《もら》ひに來《き》たのである。晝《ひる》の間《あひだ》に用意《ようい》された饂飩《うどん》が彼等《かれら》に與《あた》へられた。彼等《かれら》の手《て》には饂飩《うどん》の大《おほ》きな笊《ざる》と二|升樽《しようだる》とそれから醤油《しやうゆ》の容器《いれもの》である麥酒罎《ビールびん》とが提《さ》げ
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